恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



すると、さっきまで輝かしいばかりだったジョシュアの笑顔がどことなく悲しげに見えた。


「...すいません、この話はここまでにしましょう」

「...そう?」


なんか気落ちしてるように見えるが、どこか具合が悪くなってしまったのだろうかとイザベラは少し不安になる。

それにしても、やはりジョシュアは以前からイザベラのことを認識していたことがわかった。

まさかとは思ったが、王宮を駆けずり回る姿を蝶々と揶揄するので、イザベラは念のためにジョシュアに確認する。


「もしかして、ジョシュア君は王宮で走り回るわたしの姿を見て、好きになってくれたの?」

「いえ、違います」


あまりにも即答だったため、イザベラは思わず口を噤む。


「走り回る姿も素敵ですが、僕があなたを好きになったのはそこではありません」

「そう...」


真剣な表情でイザベラの予想を否定されてしまい、少し焦り始める。

今日までジョシュアがイザベラを好きになった理由を考えてはいるのだが、まったく見当がつかず困っている。

このままでは答え合わせどころか、合わせる答えが出てこない。

なんとかして、このデート中に答えを見つけ出さなければ!!

生活費のためという名目もあるが、研究者としての体質が、イザベラのやる気を未知なる問題の前で俄然燃え上がらせていたのであった。