恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



露店通りは休日ということもあって、たくさんの人で賑わっていた。

あまりの人の多さに、人にぶつかりそうになるもその度にジョシュアがさり気なく誘導してくれたため、難なく人混みを通り抜けることができた。

ユリウスだったら、絶対に勝手に先に行って二人して迷子になることが容易に想像できる。

しかし、現実的にユリウスと休日に二人で出かけることはまずありえないので、イザベラは今のデートに集中しなければと視線をジョシュアに向けた。

改めて見ると、ジョシュアは派手な美形ではないが、自然と人を安心させるような柔らかな顔立ちをしている。

そこに高い身長と、体格の良さも相まって、人混みの中でも目立つ存在である。

そのおかげか、すれ違う女性から熱い視線を向けられたり、何度か声をかけられそうになったりもしていた。

隣にイザベラがいたので、全て丁重にお断りしていたが、断り方も相手を傷つけないように言葉を選んでいる。

そして、また無意識にユリウスと比べてしまったイザベラは邪念を追い払うように首を振る。

ふと、ジョシュアの足がある露店の前で止まる。

何の露店か確認しようと、ジョシュアの大きな背中から顔を出すと、そこは女性用のアクセサリーが並んでいるお店だった。

ジョシュアがおもむろに一つの髪飾りを手に取り、イザベラの髪にかざす。