「あっちが父さんの部屋で向こうが母さんの。僕の部屋は北側にある。」
説明しながら宗介が扉を開けた。
宗介の部屋は、いつも通りきちんと片付いていた。
机の隣の書棚には、参考書がずらり。
青色のベッドの上には単語帳が置いてあった。
美風の家と同じように、古賀くんがビデオカメラ向かってナレーションを始めた。
「我らが西中の星黒王子……黒王子は勉強熱心な様です」
「余計なお世話だ。見たら早く帰ってくださいよ。」
宗介は机の上にあったメガネケースで手を叩いた。
伊鞠が言った。
「ファンサ、ファンサ。上野くん、ちょっとメガネ掛けてくれない?」
「嫌です」
「どうしてですか!。黒王子×メガネ、ゴッジョブなのにぃ!」
篠田さんが言うと、宗介からメガネを取り上げて、中を勝手に見る。
「新田先輩、姫」
篠田さんが口を開いた。
「代わりに掛けてくださいよ」
「恋」
恋はメガネを掛けて、あたりを見回した。
「恋、恋はメガネは似合うけど、黒フレームは似合わないよ」
理央が言いながら、恋のメガネを取った。
「サイズもちょっと違うしね。上野くん、度入ってるの?」
「ちょっとだけね。この頃落ちてきたんだ」
言いながら、宗介は勉強机の椅子を引いて座った。
「黒王子、黒王子もベッドでポーズ取らない?。薔薇風呂は和風には似合わないから、せめて寝そべってるシーンが欲しいのよ。黒王子には赤薔薇、白王子には白薔薇で対応してる。薔薇貰って来たのよ。」
「きゃあ!いいですねえ!黒王子、是非!」
「……」
宗介は伊鞠と鼻息の荒い篠田さんをきちんと無視した。
桂香ははあちこちにシャッターを切っている。
古賀くんが、宗介にぐんと近づいていって、真正面にビデオカメラを向けると、宗介はあろうことか古賀くんのお腹を蹴った。
「あっすみません。つい」
古賀くんはしぶとく体勢を持ち直して今度は恋を取り始めた。
「黒白王子を蹂躙する姫、姫は何を考えているのでしょう……黒王子の事でしょうか、それとも……?」
「この部屋は15畳位。鬱陶しいんですよ。」
宗介が古賀くんをまたつま先で軽く蹴りながら怒り笑いで笑った。



