「創は、救われた? 私のやったことは、間違ってなかった?」
その声は誰にも届かない。目にも耳にも入らないその言葉は、窓の外に輝く夜空に溶けていく。
「もう、何も苦しまないでいいんだよ」
苦しまないでいられる。いや、苦しんでいてほしかった。生きているときに苦しんで、死ぬときに救われればいい。
それが、私の正気を保つ薬に思えた。人を殺して平常心でいられるのは狂人だけ。
世間は殺人犯は最初から狂人であってほしい、と思い込む。そうでなければ、人が殺された事実を信じられないから。
馬鹿だ、と懐う。そう思わないと事実を飲み込めないだなんて。だけど、今ならその話を信じられる気がした。
自ら愛する人を殺して。未来を奪って。―――絶望から救って。



