一通り部屋を映し終わって、メイドに呼ばれて下へ行くと、客間にクラッカーやフルーツの立食パーティの準備がしてあった。
「来てもらって何も出さないで返すのはあれだから。一応簡単なものだけど用意させたんだ」
美風が言った。
早速1枚チーズと生ハムのクラッカーを摘んだ理央は、そのおいしさに古賀くんのビデオに向かって思わずリアクションを取った。
「ゴッジョブです!」
恋はベリーのクラッカーを摘みながら、まだあちこちにカメラを向けている伊鞠と桂香を見ていた。
親衛隊達はきゃいきゃい言いながら食事をしている。
「遠慮しないで。良い映像のために。お願いしますよ。」
頼み込まれてメイド達が古賀くんに撮影されている。
「樋山くんちって、いつもこんな感じなの?」
恋が聞くと、美風は呆れ顔で、
「まさか」
と言った。
「いつもはもっと静かだよ。賑やかだから、来るだけなら来ても良いけど。僕んちが放送されるなんてついてない。あーあ、どうせ僕はお昼の生徒達のネタにされるんだ。」
「まあまあ」
恋が言った。
「たまにはこういう日があってもいいじゃない」
「まあね。ほんと、新田さんが来てくれるなら、こういう日があっても諦めが付くよ。新聞部はあれだけど。」
美風はため息をつくと、チーズのクラッカーを1枚取って、立ったまま齧った。
「あーあ、今日は疲れた。白王子は休憩するよ」
飾り棚に薔薇の飾ってある客間に座る恋の前、美風はやっぱり優雅に欠伸したのだった。



