美風の家に入ると、エプロンの制服を着たメイドが早足でお茶の支度を始めた。
恋と宗介と理央がシャンデリアの客間のソファに座っていると、立ち働くメイド達の後ろ姿は、素早く余程熟練している様に思える。
間もなくワゴンにケーキと紅茶のセットが運ばれ、恋達は食事を始めた。
美風の家のケーキは高級パティシエが作る贅沢品で、ほっぺたが落ちそうなほど美味しかった。
「癪。この異常にうまいショートケーキ、お前、いつもこんなの食ってんの?」
宗介がクリームのケーキを切り崩しながら聞いた。
「別に。ケーキとパンは毎朝家に運ばれてくるから。僕、ケーキよかジャンクフードの方が好きだけど。」
「恋、このショートケーキ、作り方聞いとけよ。あぁ、鬱陶しい。他人の家だと思うと妬ましくてならない。」
「ざまあみな。僕はかなりお坊ちゃまな方だからね。上野の家とは格が違うよ。新田さんの覚えも良くなろうってもの。」
「ケーキで思い出したんだけど、そういえば明日香が、新しくできた甘味屋さんがおいしいって言ってた。恋、今度行ってみない?」
理央が言うと美風がケーキを食べながら笑った。
「駒井、新田さんから話を逸らさないで。新田さん、僕んち金持ちだよ。上野んちなんか吹けば飛ぶよ。田山の甘味屋も良いけど、新田さん、結婚、本気で考えてよね。」
宗介が美風に舌打ちをした所で、玄関ホールのチャイムが鳴った。



