次の月の撮影日。
恋は、宗介と美風を付き添いに、まず地元の駅で律と待ち合わせした。
「僕達新田さんのボディガード代わりって言って、毎回連れてって貰ってるけど、事務所は本当は写真を載せたいんじゃないかと思うんだ。」
日時計のベンチ座った美風が複雑な顔で口を開いた。
「時々、自分がこういう容姿に生まれなかった想像をする。あんまり醜くても困るけど、この容姿だと騒がれ過ぎて。自分で見ても、作り物みたいだと思うし。新田さんはどう思う?」
「容姿について考えた事ないって言えば嘘になる。僕も樋山と同じ感じ。もっと地味でも良かったなとか、女子にあれこれ言われてうざいとか。モデルってそういうのの集大成だよな。」
「宗介も樋山くんも、そのままの容姿の方が良いよ。それ以外って考えられないし。」
「あーあ。ほら、僕は髪が癖っ毛で長いでしょう?。前髪が長いのは顔を隠せるからなんだ。わざと目元を隠して、女子避けにしてる。でも長いとうざくて、作業中はどうしても前だけ結んじゃうんだ」
「僕は髪は母さんが気に入った髪型にするから。坊主にしたら女子は何も言わなくなるかもしれないって本気で考えた事あるけど、風に靡く感じがないとどうも落ち着かないんだよな。」
「分かる。僕も坊主を考えた。でも髪は長い方が快適だ。目元じろじろ見られなくて済むし。第一うちは親が許してくれない。」
「坊主って……2人ともうちょっとお洒落に考えた方が良いよ……」
そうこうしているうちに、恋は後ろから肩を叩かれた。
「おはようございます。」
メガネを掛けた律がにこっと笑った。
「今日も上野さんと樋山さん来たんですね。来なきゃ良いのに。」
「向井。」
「今僕達2人の坊主説を話してたとこ。向井もある?。坊主にした方が良いなって思ったこと。」
「滅相もないです。僕は一度もありませんよ。」
律はケラケラ笑いながら否定した。
「あーおかしい。お二人が坊主だったら、あの学校の黒白王子、どうなっちゃうんですか。」
それから、
「僕は生まれつきお洒落ですもん。騒がれるのも好きだし。別に困ってないですよ。風に靡くサラサラヘアで僕は満足です。」
とシラフで言った。



