午後。
恋と理央と明日香は教室で、占いの館の事を話しながら昼食を取っていた。
「恋と上野くんは絶対相性良いって。保証する。」
お弁当のハムカツをお箸で摘みながら、理央が言った。
「そうかなあ」
「なんだかんだ言ってうまく行ってるじゃん。もし占いで何か悪い事を言われても、気にしない方がいいと思うな。明日香は行かなくて良いの?」
「行きたいけどさ、うち部活あるから。恋、理央、付き合い悪くてごめんね」
「明日香は部活まじめに出るもんね。私はしょっちゅうサボってるよ。走るのなんか、何が楽しいか分かんないよ」
「そう言わないでよ……」
明日香がそう言った時、教室の戸がガラガラと開いて、珍しく黒沢さんが入って来た。
しゃなりしゃなりと歩いてくる、黒沢さんの白いベストには、お洒落なヘアピンが飾られている。
「出たよ……」
「新田さん!」
小声で呟いた理央に重ねて、黒沢さんが恋を呼んだ。
「なに?」
「西木くん、1組に来てなかった?」
黒沢香凛の元カレの西木洋太は2組である。
「教室に居ないんだけど」
「来てないよ」
黒沢さんはにこにこしながら恋に近づくと、
「より戻そうかって話になってるんだ」
と囁いた。
「へえ。」
「だから今あっついの。このヘアピン、西木くんからのプレゼントなんだよ。今もち三角関係。でも四角かな?。上野くんとはどう?」
「ぼちぼち」
「変わってないよ」
恋と明日香が答えた。
「良かった良かった。じゃあ行くね。お互いがんばろう」
機嫌良く教室を出ていった黒沢さんの背中が見えなくなると、理央が言った。
「西木くんとより戻すって。じゃあこの間付き合ってた山科くんと原くんはどうなるのって話じゃない?。」
「だよ」
「二人いたよね。黒沢さんはプレイガールだからねえ」
明日香が言うと理央が言った。
「ああいう人嫌。占いで絶対色気狂いって言われるよ。言わなかったら絶対モグリ」
「うちもそう思う」
恋は理央と明日香と、しばらく黒沢さんの四角関係の話をしていた。



