昇降口を抜けて、ガラガラと戸を開けて教室へ入って行くと、もう登校していた理央と美風と新聞部の2人が何やら話し込んでいた。
「だから、嫌だって言ってるでしょ。」
恋が鞄を置いて自分の席へ向かうと、前の席で、美風がしかめっ面で腕を組んで、新聞部と対峙していた。
「どうしたの?」
「新田さん。ああもう、聞いてよ。加納先輩達が、学校の委員会のポスターに、僕達の写真を使いたいって言うんだ。」
「あら、良いじゃない。良い記念になるわよ。」
「冗談じゃない。新聞に写真が載ってるだけでも嫌なのに、なんでポスターなんかにされなきゃいけないんだ。学校のポスターなんて、美術部に絵を頼めば良いだけじゃないですか。なんで僕達がやらなきゃならないんですか。」
「リクエストがいっぱいあるんだって。」
理央が言って笑った。
「樋山くんも上野くんも大人気だからね。ポスターコピーくださいってもう連絡来てるって。貰えなかったら、掲示板から剥がして持ち去るとか言ってる人もいる。」
「もう打診してて、図書委員会と緑化委員会からは裏を取ったのよ。」
伊鞠が言った。
「図書委員の黒王子と、緑化委員の白王子。本と王子と、花と王子。どっちもとってもロマンチックじゃない。」
「僕は嫌だ。死んでもお断り。新聞部、僕達のことなぶり物にしすぎ。」
後ろから鞄を置いてきた宗介が来てきっぱり言った。
宗介は、新聞部の事を馬鹿だと思っているし、写真を撮られるのが苦手な美風は新聞部が嫌いである。
「そんなこと言わないで。別に良いじゃない。アップで映して、後ろに本と花をデコラティブにゴージャスに飾らせて頂戴よ。」
「写真じゃなくてイラストにしてください。イラストなら良い。イラストだったら、これは僕じゃないって言うから。」
「親衛隊は、いっそ学校の全部の委員会と部活動のポスターを黒白王子でやってって新聞部に申請してるよ。」
「……。」
「それもアリよね。」
「信じらんない。どんな状態だよ、それ。異常。」
宗介が呆れ顔で言うと、理央がケラケラ笑って、美風はげんなりした顔をして下を向いた。
この学校は平和で、部活動のポスターは各部活動の有志が作っているし、委員会など他のポスターは、写真部が作ったり、美術部が作ったり先生方が作ったりしている。
ふと思い出した様な顔をして、理央が口調を変えた。
「あ、そうそうそういや思い出した。突然なんだけど恋も上野くんも樋山くんも、先輩達も、占いって興味ある?」
「占い?」
「ない」
宗介が即答した。
「占いなんてまやかしだ。自分の方向は自分で決めるもの。誰かに助言して貰いたい弱いやつがそういうのに頼るんだ。」
「僕は……。星占いならある程度信じてるけど。そこまで気にしたことはないかな。雑誌に載ってたらチラ見する時があるかどうか、位。」
「……信じる派。」
「私は信じてるわよ。」
伊鞠が言った。
「星占い、よく当たるわ。私はよく詳しく見てる、太陽星座じゃない星座もあるのよ。」
「そうなんですか。あのね、実は、商店街に、新しく占いの館ができたんだって。」
「占い……あ、それ、もしかして紫色の壁の店?」
「そうそれそれ。見るからに怪っしいやつ。でさ、今度みんなで行かない?」
「は?」
「私怪しいもの好きだしさ。新しく出来たお店は1回チェックしときたい方なんだ。どんなもんか知りたいじゃん。恋愛占いとかもあるって。みんなで行ってみようよ。」
理央が笑いかけ、一同は占いの館へ行く事になった。



