財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 軽食をいくつか皿に取り、惺也くんたちの元へ戻ろうとした、その時だった。
 惺也くんの隣に、真っ赤なドレスを身に纏った女性が立っていた。

 宝生(ほうしょう)財閥の令嬢──宝生(あい)()
 その隣には、威厳のある風格を纏った男性。宝生財閥のトップ、宝生会長だ。

 事前に惺也くんからパーティーに参加しそうな企業の一覧表をもらっていた。その中に、宝生財閥の名もあった。
 片桐財閥の御曹司の妻として、このチャリティーパーティーでの挨拶は必要不可欠。惺也くんに迷惑をかけないようにと、私は必死で顔ぶれを覚えた。

 宝生愛華──宝生財閥の一人娘。
 海外留学も豊富で多言語を操り、華やかな見た目とモデル並みのスタイルで、世の男性を虜にしているという噂もあるほど。

 愛華さんは惺也くんの腕に絡みつき、まるで自分こそが彼の隣に立つべき人間だと言わんばかりの笑みを浮かべていた。
 その光景を見た瞬間、足が床に張りついたように動かなくなってしまった。
 そんな私に気づいた柳社長が、手招きしてくれる。

「李茉さん、こちらへ」