財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 どうしても、彼女を手に入れたかった。
 いや、違う。他の男に渡したくなかった。
 
 俺以外にも、借金を帳消しにする代わりに縁談を持ちかける輩がいてもおかしくない。
 だから、俺は一刻の猶予もない――そう思っていた。

 諦めきれず、一週間近くも彼女の職場に通い続けたが、正直精神的に限界に近かった。
 何カ月も前から目をつけていたとある企業への投資も棒に振り、ライバル会社に横取りされた案件もある。
 
 つい『お前のために、この数日間で大きな案件を三つ棒に振ったんだぞ』と口が滑ってしまった。
 すると、目が見開かれ、引いている様子が見て取れた。
 もう潮時かもしれない――そう思った、次の瞬間。

『……結婚する相手に相応しいかどうか、見極めさせてください』

 思いもよらぬ彼女の言葉に、俺は心の中でガッツポーズをした。