財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 高校を卒業した俺は、海外の大学へと進学した。
 親の背中を見て育ったせいか、投資の世界には幼い頃から興味があった。
 高校時代には、趣味で株の売買をしていたほどだ。
 その延長線上で、〝もっと本格的にやりたい〟そう思ったのは自然な流れだった。

 大学在学中に会社を設立した。それが――【KATAGIRI Capital】の始まりだ。
 大学生活のほとんどを講義と投資案件の分析に費やした。
 気づけば、実績は着実に積み上がり、卒業する頃には、世界中の企業が俺の判断を求めて足を運ぶようになっていた。

 会社は順調だった。数字も肩書きも、望む通りに積み上がっていく。
 だが――胸の奥のどこかに、拭いきれない〝ざらつき〟だけが残っていた。
 それが何なのか、当時の俺にはまだ言語化できなかった。

 大学を卒業し、片桐キャピタルのCEOとして八年が経った頃。
 打ち合わせのために移動していた車内で、資料に目を通していた。

 その中に、金融機関が融資を断った企業一覧――危険企業リストがあった。
 通常なら、流し読みして終わる。だが、その日だけは違った。

 【九石精工】――その文字を見た瞬間、胸の奥が大きく跳ねた。