財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 揚げ足を取られ、言葉に詰まる。

「と、とにかく! このお話はお断りさせていただきます」

 その場で断ると、男の眉間に深いしわが寄る。

「九石精工の特許技術は、俺の新規プロジェクトに欠かせない。再建には信用が必要だろ。その点においては、結婚という形なら外部にも説明がつく」

 さすが、裏社会のボスだ。
 こちらの弱みを把握して、これでもかと傷口を抉ってくるなんて……。
 でもどう足掻いたって、短期間で五億円を用立てできる人と知り合えるとは思えない。
 彼が裏社会の人だとしても、臓器を売れだとか、男性相手に体を売れと言われているわけじゃない。
 それでも……、今日初めて会った人と結婚なんて無理……‼

「なんと言われましても、無理なものは無理なんです!」

 私は口を真一文字に引き結び、意志の固さを滲ませた。

「負債額五億円の他に、九石精工の無期限の再健フォローと、新規事業の提案なども協力すると言ったら……?」
「え……」