ある日の放課後。
俺は帰宅しようと荷物を纏めていると、突然、背後から声をかけられた。
「片桐くん、今度の日曜日の植樹祭、片桐くんも参加するの?」
「は?」
俺は固まってしまった。
普段から俺に声をかけてくるような奴は、気心知れたどこぞの大企業の子息令嬢どもだから、まさか庶民が声をかけてくるとは思わなかったのだ。
植樹祭は片桐グループが主催する慈善事業の一つで、毎年春に行われている。
片桐グループはイメージ戦略の一環として、慈善事業に力を入れていた。
当然のように、俺は幼い頃から片桐グループが主催する慈善事業に参加させられていた。
〝クリーンなイメージを保つため〟と言われ、慈善事業に参加するのは義務みたいなものだと解釈していた。
李茉が、それまで何度かボランティア要員として参加しているのを目にしたことがあったが、目を合わせても話しかけてくることなんて一度もなかったのに……。
「……あぁ」
「何着て行けばいいの?」
「あ? 何って、……別に普段着で大丈夫だろ」
「長靴を履いていった方がいい?」
おいおい、長靴って……。こいつ、ガチで参加する気かよ。
瞳をキラキラと輝かせ、周りの連中が物珍しそうに見ているのも気にせず、俺の顔を覗き込んでいる。
「……いや、別にスニーカーでもいいんじゃね?」
「そうなんだ。ありがとね」
戸惑う俺をよそに、李茉は謎が解けてすっきりしたといった表情で帰っていった。
その背中を見つめ、俺の中で何かがそっと揺らぎ始めた気がした。
俺は帰宅しようと荷物を纏めていると、突然、背後から声をかけられた。
「片桐くん、今度の日曜日の植樹祭、片桐くんも参加するの?」
「は?」
俺は固まってしまった。
普段から俺に声をかけてくるような奴は、気心知れたどこぞの大企業の子息令嬢どもだから、まさか庶民が声をかけてくるとは思わなかったのだ。
植樹祭は片桐グループが主催する慈善事業の一つで、毎年春に行われている。
片桐グループはイメージ戦略の一環として、慈善事業に力を入れていた。
当然のように、俺は幼い頃から片桐グループが主催する慈善事業に参加させられていた。
〝クリーンなイメージを保つため〟と言われ、慈善事業に参加するのは義務みたいなものだと解釈していた。
李茉が、それまで何度かボランティア要員として参加しているのを目にしたことがあったが、目を合わせても話しかけてくることなんて一度もなかったのに……。
「……あぁ」
「何着て行けばいいの?」
「あ? 何って、……別に普段着で大丈夫だろ」
「長靴を履いていった方がいい?」
おいおい、長靴って……。こいつ、ガチで参加する気かよ。
瞳をキラキラと輝かせ、周りの連中が物珍しそうに見ているのも気にせず、俺の顔を覗き込んでいる。
「……いや、別にスニーカーでもいいんじゃね?」
「そうなんだ。ありがとね」
戸惑う俺をよそに、李茉は謎が解けてすっきりしたといった表情で帰っていった。
その背中を見つめ、俺の中で何かがそっと揺らぎ始めた気がした。



