財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 頭が真っ白になって、うまく言葉が紡げない。
 噓に決まっている。これは彼なりのリップサービスに違いないと思うのに……。
 絡められた指先から、そっと包み込むような温度が伝わってくる。
 理由のわからないそわつきが、胸の奥で静かに広がっていく。

「どっちから告白したの?」
「もちろん、自分です」

 余裕の笑みを浮かべながら、惺也くんは園長先生の質問に答え続ける。

「十年ぶりの再会って、どんな感じだったの?」
「そうですね……。打ち消したはずの想いが蘇ったと言いますか……。本当は、ずっと見ないふりしていた気持ちが、溢れた……に近いかもしれません」
「まぁ‼」

 恋バナが好きな園長先生が目を輝かせた。

 次々と質問が飛んできて、それに淡々と答えていく惺也くん。
 それを私は、第三者のような感覚で無言で聞き入っていた。

 だって、初恋だの、打ち消したはずの想いが蘇った……なんて、誰が信じるの? 私たちは愛のない、契約結婚をした仲なのに……。

 惺也くんは紅茶を一口口に含み、私へと視線を向けた。その眼差しがあまりにも熱っぽくて……思わず顔を伏せてしまった。

 すると、園長先生の旦那さんが「いいねえ、若いって」と茶化してくる。
 私はただ、相思相愛の夫婦を装うのが恥ずかしくて……、どう反応していいかわからなかった。