財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 園長先生が紅茶のポットを置き、リビングテーブルにはお手製のフルーツタルトと、香り高いアールグレイのティーカップが並んだ。

「わぁ、フルーツタルト!」

 目の前に艶々のタルトが出され、思わず声が漏れていた。

「李茉先生、果物好きですものね」
「ありがとうございます‼ 園長先生のケーキ、すごく好きなんです」
「そう言ってもらえると、作り甲斐があるわね。旦那さんも、遠慮せずに召し上がってね」
「ありがとうございます。……いただきます」

 惺也くんがフォークを手にしたのを見て、私もケーキ皿に手を伸ばした。

「二人の馴れ初め、聞いてもいいかしら……?」
「っ……、馴れ初めですか?」

 ケーキを一口頬張った私は、噴き出しそうになった。

「そう、気になるのよねえ。少女漫画のような出会いや恋愛を夢見ている李茉先生が、結婚を決意したんですもの」

 うふふと笑う園長先生は、楽しそうに私の顔を覗き込む。
 幼稚園の職員たちで飲み会をした際に、つい恋愛観についてポロっと口走ったことがある。
 周りはどんどん結婚して家庭に入り、仕事で同世代のママさんたちと接するうちに、どんどん家族というものに憧れが膨らんでいった。

 「えっ……あの、その……」

 やばい……! 契約結婚なんて言えるわけない……‼
 答えに詰まり、視線が泳ぐ。ちらちらっと視線を惺也くんに送ると、園長先生がさらに続けた。