財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 ……イタリアって、そんなに小さい国じゃないわよね?
 仕事で行ったわけだから、当然仕事の合間に探してくれたんだろうけど……。
 投資関連の仕事をしていると言っていたけれど、こういう業界にも投資していて伝手でもあるのかしら……?

 胸の奥がざわりと揺れる。
 ──そういえば、園長先生に招待されたと伝えた時。
『お前が好きな仕事に携わってる人なんだから、俺も知っておく必要がある』と言った言葉が蘇る。
 ……ただ〝把握しておきたい〟だけ、深い意味なんてない……はずなのに、どうしてこんなに胸がざわつくんだろう。

「本当にありがとう。大切に使わせてもらうわね」
「お気に召していただけたなら、よかったです」

 惺也くんが静かに微笑む。その笑顔が、なぜか胸に突き刺さった。
 これも完璧夫婦を装うための演技の一部にすぎないのよね……?

「さあ、座って。今日はゆっくりしていってちょうだいね」

 園長先生が軽い足取りでキッチンへ向かっていった。