入籍を済ませてから、一カ月ほどが経ったある日の朝。
出勤した私は意を決して、職員室にいる先生たちに声をかけた。
「おはようございます。あの、……ご報告があります。……私事なんですが、先月、入籍いたしました」
本当は、もっと早く職場に報告するつもりだった。
けれど、交際期間もなく結婚したこと、相手が片桐グループの御曹司であること。
何を言われるかわからないと思うと、どうしても言い出せなかった。
でも、もう住所も変わっているし戸籍も変わっていて、さすがに報告しないわけにはいかないと思ったのだ。
「まあ! ご結婚おめでとう!」
「おめでとうございます」
「……ありがとうございます」
園長先生や同僚の先生たちが、次々と祝福の言葉を向けてくれる。
「園長先生、新しい住所がこちらになります」
私は住所と名前を書いたメモを差し出した。
五十代後半の園長先生――三輪史子は、職員の母親的存在。
『生涯、現場で子供たちと過ごしたい』と言って、園長室を分けず職員室で皆と机を並べているほど、現場目線を大切にしている。
「李茉先生、勤務は今まで通りで大丈夫なの? ご主人はなんて?」
「仕事は続けていいと了承を得ているので、大丈夫です」
「そう。それなら助かるわ」
園長先生が安堵の息を漏らす。
同僚の先生たちが、興味津々で私を囲む。
出勤した私は意を決して、職員室にいる先生たちに声をかけた。
「おはようございます。あの、……ご報告があります。……私事なんですが、先月、入籍いたしました」
本当は、もっと早く職場に報告するつもりだった。
けれど、交際期間もなく結婚したこと、相手が片桐グループの御曹司であること。
何を言われるかわからないと思うと、どうしても言い出せなかった。
でも、もう住所も変わっているし戸籍も変わっていて、さすがに報告しないわけにはいかないと思ったのだ。
「まあ! ご結婚おめでとう!」
「おめでとうございます」
「……ありがとうございます」
園長先生や同僚の先生たちが、次々と祝福の言葉を向けてくれる。
「園長先生、新しい住所がこちらになります」
私は住所と名前を書いたメモを差し出した。
五十代後半の園長先生――三輪史子は、職員の母親的存在。
『生涯、現場で子供たちと過ごしたい』と言って、園長室を分けず職員室で皆と机を並べているほど、現場目線を大切にしている。
「李茉先生、勤務は今まで通りで大丈夫なの? ご主人はなんて?」
「仕事は続けていいと了承を得ているので、大丈夫です」
「そう。それなら助かるわ」
園長先生が安堵の息を漏らす。
同僚の先生たちが、興味津々で私を囲む。



