財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 初夜未遂から一夜明けた日曜日の朝。
 目を覚ますと、隣に片桐くんの姿はなかった。

 スマホで時間を確認すると、午前七時前。……もう起きてるのかしら?
 寝室を出ると、キッチンから包丁の軽快な音が聞こえてきた。

「……え?」

思わず足が止まる。
そこには、エプロン姿で朝食を作る片桐くんの姿があった。

「起きたか。もうすぐできる」

 私に気づいた彼が、笑顔で声をかけてくる。

「つ、作ってくれたの……?」
「今日は若林に暇を出してるからな」

 淡々とした口調なのに、テーブルに並べられた料理は、どれも私の好みばかりだった。

 焼き鮭は皮がパリッとしていて、目玉焼きは半熟。
 白米は少し柔らかめで、味噌汁は具が少なめでシンプルなもの。
 え……なんでこんなにも、どストライクな好みを知ってるの? 本当に超能力が使えるとか……?

「よし、食べるか」