財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

「……可愛い」

 自分で口にしてしまったことにハッとする。

「及川」
「はい、社長」
「今選んだやつを全部頼む」
「承知いたしました」

 え……ちょっと待って……!
 もしかして今の一言で、適当に指を差したものを全部お買い上げってこと……⁉

「他に、何か欲しいものがあったか?」
「……い、いえ……!」
「遠慮なく言え。今日はお前に、俺の一日をくれてやるんだから、好きなだけ甘えろ」
「っ……!」

 甘えろと言われても……こんな次元違いの甘え方なんて、知らないから……‼
 普通のカップルなら、手をつなぐとか、ご飯を奢ってもらうとかのレベルだよ!
 ピアス一つでも、誕生日とかクリスマスにおねだりするのがいいところで、一日の間に、食事に鑑賞、ショッピングまで……、しかも、一つ一つの値段が、ゼロの数が多すぎるんだってばっ‼
 もう、明日地球が滅亡するレベルだから……!

 及川さんと目配せした彼は、「よし、次行くぞ」とだけ言い、私の手を摑んで次の店へ歩き出した。
 今さっきのブレスレット……一体いくらするんだろう?
 ううん、ブレスレットだけじゃなくて、彼が指差したもの全部でいくらになるの……?
 怖くて聞けやしない。