クルーザーを降りて陸に上がると、当然のようにロングストレッチのリムジンが待機していた。
片桐くんにエスコートされるまま乗り込むと、車は静かに走り出す。
海沿いの景色が遠ざかり、やがて都心のビル群が近づいてくる。
三十分ほどで到着したのは、近代美術館のような外観の巨大な建物だった。
白い曲線とガラスが組み合わさった個性的な造り。太陽の光を受けて淡く輝いている。
入口の上には【KATAGIRI ARTS DOME】の文字。
公共施設ではないことは、一目でわかった。
建物の中へ足を踏み入れた瞬間、ひんやりとした空気が肌を撫でる。
黒い御影石の床は静謐な美しさを放ち、ヒールの音がコツコツと響く。
重厚感のある扉が開くと──息を呑むほど広いホールが広がっていた。
天井の装飾、壁のレリーフは繊細で緻密。
ステージの上にはオーケストラの団員が整然と並び、その中央に指揮者が静かに立っている。
「及川、準備はできてるか」
「はい、整っております」
及川さんが頷くと、彼は私を席へとエスコートした。
辺りを見回してみるものの、私たち以外に誰もいない。
どう考えても──これって、私たちのためだけに用意された演奏だよね?
いや……〝私のため〟だけに、なのかもしれない。
胸がきゅっと締めつけられ、足が竦む。
席に着くと、照明がゆっくりと落ち、静寂が訪れた。
片桐くんにエスコートされるまま乗り込むと、車は静かに走り出す。
海沿いの景色が遠ざかり、やがて都心のビル群が近づいてくる。
三十分ほどで到着したのは、近代美術館のような外観の巨大な建物だった。
白い曲線とガラスが組み合わさった個性的な造り。太陽の光を受けて淡く輝いている。
入口の上には【KATAGIRI ARTS DOME】の文字。
公共施設ではないことは、一目でわかった。
建物の中へ足を踏み入れた瞬間、ひんやりとした空気が肌を撫でる。
黒い御影石の床は静謐な美しさを放ち、ヒールの音がコツコツと響く。
重厚感のある扉が開くと──息を呑むほど広いホールが広がっていた。
天井の装飾、壁のレリーフは繊細で緻密。
ステージの上にはオーケストラの団員が整然と並び、その中央に指揮者が静かに立っている。
「及川、準備はできてるか」
「はい、整っております」
及川さんが頷くと、彼は私を席へとエスコートした。
辺りを見回してみるものの、私たち以外に誰もいない。
どう考えても──これって、私たちのためだけに用意された演奏だよね?
いや……〝私のため〟だけに、なのかもしれない。
胸がきゅっと締めつけられ、足が竦む。
席に着くと、照明がゆっくりと落ち、静寂が訪れた。



