財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 射貫くように向けられる視線。逃げたいのに、逃げられない。
 昔から、彼の眼差しは心の奥を見透かすようで、胸が不必要に跳ねてしまう。

「いい加減、待たされる俺の身にもなってみろ」

 低く、よく通る声。拒絶を許さない圧がある。

「……私、断りましたよね?」

 彼は瞬き一つせず、じっと私を見据えている。

「俺は〝YES〟以外、受け付けない。何度言ったらわかるんだ」
「なっ……」

 獲物を狙った獰猛な獣に、完全にロックオンされているみたいで、全身が粟立つ。
 怒りとも恐怖ともつかない感情が、胸の奥で何重にも渦を巻く。
 でも、その奥に──ほんの少しだけ、説明できない別の感情が混じっている気がした。

「どうしてここまで執着するの……?」

 思わず漏れた私の声に、彼の眉がぴくりと動いた。
 次の瞬間、彼は一歩間を詰め、私の手首をきつく掴んだ。
 その手はまるで〝逃がさない〟と言っているみたいで、思わず息を呑む。