財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

『……でもさ。確かにお金に物言わせるタイプだったけど、〝間違った使い方〟はしてなかった記憶なんだよね』
「え?」
『ほら、文化祭の後。クラス全員で食事会したじゃん? あれ、全部片桐くんのポケットマネーだったよ』
「……あ、そういえば……」

 朧気な記憶だけれど、高校生の払える金額ではなかったことは、覚えている。

『体育祭の時もさ、片桐くんのポケットマネーで、クラス全員分のお揃いTシャツとタオル作ってくれたよね』
「……そんなこともあったね」

 確かに〝嫌味な御曹司〟ではあったけれど、誰かを傷つけるような使い方はしていなかったことを思い出す。

『だからさ、〝揶揄い目的〟って決めつけるのは早いと思う。本気かどうかは、行動を見てればわかるでしょ』
「行動……?」
『そう、……行動。誠実さって、本当に隠せないから』

 スマホを握りしめながら、彼が出待ちしていた姿を思い出す。

 あれが……誠実、なの……? そんなわけ……ないよね?
 胸の奥がざわざわと音を立てていた。