財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~

 自宅に着いた途端、どっと疲れが押し寄せた。
 まさか、あの人が片桐くんだったなんて……。
 私は自室のベッドに倒れ込んだまま、しばらく動けなかった。

 謎の男──契約結婚を迫ってきた、あの強引な人が、まさか高校の同級生だったなんて。
 しかも、『庶民』と私を揶揄っていた、あの嫌味な御曹司の片桐くんだとは……。

 頭の中で情報がぐるぐる回り、整理が追いつかない。

 ……どういうこと? なんで私なんかのこと……?
 もやもやが収まらず、気づけばスマホを握りしめていた。
 こういう時に頼れるのは、親友の()(そら)しかいない!
 着信履歴から【(さか)(した)未空】を見つけ、迷うことなく通話ボタンを押した。

『もしもし?』
「未空? ちょっと話したいことがあって……」
『ん? 何かあった……?』

 私はこれまでの経緯を未空に包み隠さず話した。
 本当は、一番に相談すべき相手なのだけど、親友だからこそ、最後の砦が崩れると思って言えなかったのだ。

 父親の会社が倒産寸前だということ。
 突然、負債返済の代わりに契約結婚を突き付けられたこと。
 しかも、その相手が、同級生の片桐くんだということも……。