***(惺也視点)
名古屋での仕事を終え、五日ぶりに都内に戻ってきた。
新幹線を降りた瞬間、蒸し暑い空気が肌にまとわりつく。
ふと視線を上げると、【SUMMER SALE】の大きな広告が目に入った。
──李茉に、何か買って帰るか。
十日前の夜のことが、自然と胸に浮かんだ。
弱音を零しながら泣いた彼女を抱きしめた感触。
名前を呼んだ時の、俺を求めるような煽情的な眼差し。
重ね合った素肌から伝わってきた彼女の体温。
身も心も繋がった熱い一夜を思い返し、無意識に口元が緩む。
「社長、この後、どうされますか?」
「……少し寄る。先に帰っていいぞ」
「いえ、お供いたします」
俺は及川を連れ、駅ビルの中へと向かった。
「そう言えば、俺の部屋のブラインドが新しくなったようだが、及川が指示したのか?」
「いえ。先月、社長と私が出張中に、清掃係から故障していると報告を受けたようで、すぐさま交換したようです。何か、ご不便でも?」
「いや、明るめな色に変わったからか、何となく、陽の入りが多くなった気がしただけだ」
「元の色に戻しますか?」
及川がスマホをポケットから取り出した。今にも城ケ崎に指示を出しそうで、思わずスマホに手をかけた。
「いや、いい。手元がよく見えるようになったのだから、結果オーライだ」
俺は大型商業施設のフロアを歩きながら、李茉が喜びそうなものを探す。
けれど、どれもいまいち決め手に欠ける。
花やアクセサリーは頻繁に贈っているし、服やバッグなどは、箱の中に入ったままのものも多い。
無難に焼き菓子にでもしようかと考えていた、その時だった。
視界の端に、見慣れた後ろ姿が映った。
李茉……? 思わず足が止まる。
すると、俺のすぐ後ろを歩いていた及川が、俺の背中にぶつかり、慌てて姿勢を正した。
「しゃ、社長……?」
名古屋での仕事を終え、五日ぶりに都内に戻ってきた。
新幹線を降りた瞬間、蒸し暑い空気が肌にまとわりつく。
ふと視線を上げると、【SUMMER SALE】の大きな広告が目に入った。
──李茉に、何か買って帰るか。
十日前の夜のことが、自然と胸に浮かんだ。
弱音を零しながら泣いた彼女を抱きしめた感触。
名前を呼んだ時の、俺を求めるような煽情的な眼差し。
重ね合った素肌から伝わってきた彼女の体温。
身も心も繋がった熱い一夜を思い返し、無意識に口元が緩む。
「社長、この後、どうされますか?」
「……少し寄る。先に帰っていいぞ」
「いえ、お供いたします」
俺は及川を連れ、駅ビルの中へと向かった。
「そう言えば、俺の部屋のブラインドが新しくなったようだが、及川が指示したのか?」
「いえ。先月、社長と私が出張中に、清掃係から故障していると報告を受けたようで、すぐさま交換したようです。何か、ご不便でも?」
「いや、明るめな色に変わったからか、何となく、陽の入りが多くなった気がしただけだ」
「元の色に戻しますか?」
及川がスマホをポケットから取り出した。今にも城ケ崎に指示を出しそうで、思わずスマホに手をかけた。
「いや、いい。手元がよく見えるようになったのだから、結果オーライだ」
俺は大型商業施設のフロアを歩きながら、李茉が喜びそうなものを探す。
けれど、どれもいまいち決め手に欠ける。
花やアクセサリーは頻繁に贈っているし、服やバッグなどは、箱の中に入ったままのものも多い。
無難に焼き菓子にでもしようかと考えていた、その時だった。
視界の端に、見慣れた後ろ姿が映った。
李茉……? 思わず足が止まる。
すると、俺のすぐ後ろを歩いていた及川が、俺の背中にぶつかり、慌てて姿勢を正した。
「しゃ、社長……?」



