朝日有希の本当の名前を、僕はまだ知らない

眠る前には足が痛くなくなっていますように、なんて適当な神様に願って眠る。

そして朝、目が覚める度に膝から下に激痛がはしる。



「いってー……クソ! 今日も練習行けないのかよ」



イライラして、床をたたく。

あぁ、こんなんじゃ副部長解任も近いかもしれないな。

そう思う。

そして神様なんてやっぱ居ないな、と当たり前のことを思う。



「なかなか良くならないねぇ」



整体の先生は足を揉みながら、不思議そうに首を傾げる。



「最近歩いたりバスケで動かしたりしてなくても痛くて」



そうすると先生は影のある険しい顔になる。



「一度レントゲン撮って貰ってきた方がいい」



「特に捻ったりとかしてねぇし。ただの成長痛って……」



「一応は一応だよ」



先生の言う通り、次の日には整形外科へ行った。

医者はレントゲンを見てもっと険しい顔をした。



「紹介状書くからもう少し大きな病院に行った方がいい。なるべく早く。CTとか詳しい検査をした方がいいから」



「成長痛じゃないんですか?」



「詳しく検査してみないと何とも言えない。でももしかしたらしばらく入院になるかと思う」



「はぁ?」



先生が渡してきた紹介状には、この街で1番でかい病院名と何故か宛先が整形外科ではなく、小児の腫瘍外科宛になっていた。



変な汗が出て、嫌な予感がした。

入院なんて無理だ。

バスケができなくなる。