朝日有希の本当の名前を、僕はまだ知らない


「とにかく問題ないなら良かった」



「何も。じゃあ、そろそろ帰るわ。また夜にね」



「ああ、また」



よいしょ、と有希は立ち上がってそのまま部屋を出ていった。



昨日、また明日ねに喜んだばかりなのに、今日はまた夜にねと言われるなんて。

それでも、俺はずっと変わらない世界に一筋の光が差したみたいで。

同時にもう、戻ることはできないんだと確信した。

だけど、今の僕にはそれだけが希望に満ちている予感がして。

失いたくない、そう強く感じていた。



2話・[完]