百文字怪奇短編集

 街で放火が続いている。僕は発生地点を地図に書き込んだ。駅、コンビニ、斜向かいの家…。
「うちの方に向かってる!」
 このままじゃ危ない! 兄にそう伝えると「そうか」と答えるだけだった。翌日、兄は焼身自殺した。

【解説】
 放火事件の犯人は兄でした。
 発生地点が徐々に自分の家に近づいていたのは偶然ではなく、兄が帰宅途中に火をつけていたからです。
 弟から「うちの方に向かってる!」と指摘された兄は逃げ切れないと思ったのでしょう、自分自身に火を放ち、放火事件を終わらせたのです。