隣から苦しそうな呼吸が聞こえる。
莉麻はそっと悠真の横顔を見た。
額には汗。
眉間には力が入ったまま。
……まだ、きつそう。
少し迷った。
でも、このまま一人で耐えさせる方がつらい気がした。
莉麻「悠真くん。」
悠真「……?」
莉麻「良かったら……。」
少しだけ照れくさそうに笑う。
莉麻「肩、使ってください。少しでも楽になるなら。」
悠真は驚いたように莉麻を見る。
そんなことまで言ってくれるんだ。
普通なら初対面の男に、こんなことしない。
……本当にこの子は、なんなんだ。
悠真「……ありがとう。」
小さくそう呟いて、ゆっくり体を預ける。
肩へ重みが伝わる。
思っていたより軽い。
それでも、少しでも悠真が楽なら。
それだけで十分だった。
車は静かに街を走っていく。
誰にも気づかれることなく。
悠真は安心したように目を閉じ、そのまま莉麻の肩へそっと寄りかかった。
肩越しに伝わる体温が、少しずつ震えを落ち着かせてくれる。
──どうしてだろう。
今日初めて会った子なのに。
隣にいるだけで、こんなにも安心できるなんて。



