帰る準備をしようと、莉麻は静かに立ち上がる。
バッグを肩へ掛け、小さく悠真へ微笑んだ。
莉麻「それじゃあ……。」
その言葉を聞いた瞬間だった。
悠真は反射的に顔を上げる。
……帰る。
その一言だけで、胸の奥が少しだけ苦しくなる。
もう少しだけ話していたい。
もう少しだけ、そばにいてほしい。
そんなこと思っちゃだめだ。
分かってる。
でも体より先に心が動いてしまった。
悠真「……莉麻ちゃん。」
呼び止める。
莉麻は振り返り、優しく首を傾げた。
莉麻「はい?」
悠真は何か言おうと口を開く。
けれど何を言えばいいのか分からない。
連絡先を聞く?
また会いたいって言う?
そんなの急すぎる。
結局、何も言えないまま視線だけが泳いだ。
その様子が少し可愛らしく見えて、莉麻はふっと笑う。
莉麻「どうしました?」
その笑顔を見た瞬間。
また会えなくなるかもしれない。
そんな不安が胸をよぎった。



