大通りへ出ると、ちょうど一台のタクシーが近づいてきた。
莉麻が手を挙げる。
静かに車が止まり、ドアが開いた。
莉麻「ゆっくりで大丈夫です。」
悠真を支えながら車へ乗せ、自分も隣へ腰を下ろす。
ドアが閉まると同時に、冷房の風が頬を撫でた。
少しだけ息がしやすい。
運転手「どちらまで?」
悠真はゆっくり息を整えてから、小さな声で住所を伝えた。
運転手「かしこまりました。」
車が静かに走り出す。
窓の外の景色が流れていく。
けれど悠真は、それを見る余裕もない。
頭が重くて体も熱い。
目を閉じるたびに、意識が遠くなりそうだった。
……まだ、家まである。
大丈夫。
もう少し。
そう思っていても、体は言うことを聞いてくれない。



