病室には穏やかな時間が流れていた。

点滴はもう残りわずか。

窓の外はすっかり暗くなり、夜の街の明かりが静かに揺れている。

その時だった。

悠真の指先が小さく動く。

ぎゅっ。

莉麻の手を握る力が、ほんの少しだけ強くなる。

莉麻「……悠真くん?」

優しく呼びかける。

悠真はゆっくり瞼を開いた。

ぼんやりとした視線が最初に映したのは、莉麻の顔だった。

数秒見つめたあと、安心したように口元が緩む。

悠真「……まだ、いた。」

その一言に、莉麻は自然と笑顔になる。

莉麻「約束しましたから。点滴が終わるまで、一緒にいるって。」

悠真は嬉しそうに小さく頷いた。

その笑顔は、テレビでも雑誌でも見たことのないくらい柔らかかった。