病室に流れる空気は、驚くほど穏やかだった。

さっきまでバタバタしていたとは思えない。

奈津は改めて莉麻を見る。

派手じゃない。

でも、一緒にいると空気が柔らかくなる。

悠真が安心して眠っている理由が、少し分かる気がした。

……こんな子なんだ。

自然と気になってしまう。

もっと話してみたい。

もっと知りたい。

そんな気持ちが、胸の奥で小さく芽生える。

その時病室のドアが勢いよく開いた。

???「悠真っ!!」

大きな声が病室中に響く。

莉麻が驚いて振り返ると、そこには息を切らした春空が立っていた。

後ろには陽と未来、伊澄の姿もある。

春空「大丈夫なの!?」

そう言いながら駆け寄ってくる春空は、ベッドの横に座る莉麻の存在に気づき、ぴたりと足を止めた。

春空「……え。」

思わず目を見開く。

病室にいるはずのない、知らない女の子。

しかも悠真はその子の手を握ったまま、安心しきった顔で眠っていた。

春空の視線は、自然と莉麻から離れなくなっていた。