診察を終え、点滴を受けることになった。
ベッドへ横になると、看護師が手際よく準備を進める。
針が刺さり、透明な点滴がゆっくり落ち始めた。
看護師「これが終わる頃には少し楽になると思います。」
そう言って部屋を出ていく。
部屋には悠真、莉麻、奈津だけが残った。
少しの沈黙。
その静けさを破ったのは奈津だった。
奈津「飲まず食わずで仕事しただろ。」
図星だった。
悠真は苦笑しながら視線を逸らす。
悠真「……朝、あんまり食べれなくて。」
奈津「それでサイン会最後までやるとか。」
呆れたように息を吐く。
奈津「倒れるに決まってる。」
怒っているわけじゃない。
心配しているからこその口調だった。
悠真は小さく笑う。
悠真「ごめん。」
その様子を見ていた莉麻は、胸の奥が少し痛くなった。
また謝ってる。
今日だけで何回「ごめん」って言ったんだろう。



