奈津「悠真。」
肩へそっと手を置く。
奈津「着いたぞ。」
悠真の瞼が小さく震えた。
ゆっくり目を開ける。
ぼんやりとした視線が奈津へ向いたあと、すぐに莉麻の方へ移る。
……あ。
まだ、いてくれた。
安心したように、小さく息を吐く。
悠真「……莉麻ちゃん。」
掠れた声で名前を呼ぶ。
その声に莉麻は優しく微笑んだ。
莉麻「病院に着きましたよ。少し診てもらいましょう。」
悠真は小さく頷く。
でも起き上がろうとした瞬間、服を掴んでいた手がそのまま止まった。
気づけばまだ握ったままだった。
悠真「……ごめん。」
慌てて手を離そうとする。
その表情が少しだけ恥ずかしそうで、莉麻はくすっと笑った。
莉麻「気にしないでください。ちゃんと離せてますよ。」
その一言に、悠真も少しだけ照れたように笑う。
その笑顔を見た奈津は、胸の奥で静かに思う。
……悠真、笑った。
さっきまで苦しそうだったのに。
莉麻と話す時だけ、こんな顔するんだ。



