奈津「……寝たか。」

奈津はほっと息を吐いた。

あれだけ張りつめていた表情が、今は嘘みたいに穏やかだ。

こんな寝顔、久しぶりに見た。

それも誰かの膝の上で眠るなんて。

奈津は視線をゆっくり莉麻へ向ける。

……改めて見ると。

綺麗な子だな。

派手なわけじゃない。

でも、柔らかい雰囲気があって、見ているだけで気持ちが落ち着く。

そんな女の子だった。

奈津「そういえば。」

莉麻が顔を上げる。

奈津「ちゃんと自己紹介してなかったな。」

小さく笑って手を差し出した。

奈津「俺、奈津。VELIXのリーダー。」

莉麻も少しだけ緊張しながら頭を下げる。

莉麻「莉麻です。短大に通ってます。」

奈津は頷くと、眠る悠真へ視線を落とした。

奈津「……こんな悠真、初めて見た。」

その言葉に、莉麻は不思議そうに首を傾げる。

奈津「人に甘えることなんて、ほとんどない。だからさ。」

莉麻を見る。

奈津「悠真と普通に話すの、今日が初めてじゃないよな?」