車のドアが静かに閉まる。
エンジンがかかると同時に、ゆっくりと走り出した。
後部座席では、莉麻が奥へ座り、その隣へ悠真をそっと横にする。
熱で苦しそうに眉を寄せる悠真を見て、莉麻は優しく髪を撫でた。
莉麻「悠真くん。」
小さく名前を呼ぶ。
反応はない。
意識はぼんやりしているみたいだった。
「このままだと首がきついかな……。」
そう思い、ゆっくりと悠真の頭を持ち上げる。
莉麻「失礼しますね。」
そっと自分の膝へ頭を乗せると、悠真は苦しそうだった表情を少しだけ緩めた。
安心したように、小さく息を吐く。
そのまま莉麻の服を掴んでいた手は、まだ離れない。
ぎゅっと握る力は弱くなっているのに。
その指先だけは、「ここにいて」と伝えているようだった。
莉麻はその手をそっと包み込む。
莉麻「大丈夫ですよ。病院まで一緒ですから。」
その声を聞いた悠真は、眠るように静かに寝息を立て始めた。



