奈津はしばらく言葉が出なかった。
目の前の光景が信じられない。
悠真は昔から、人に甘えない。
どんなにつらくてもどんなに苦しくても。
「大丈夫。」
その一言で全部飲み込んできた。
メンバーですら寄りかかられたことなんて一度もない。
それなのに今は莉麻の肩へ額を預けたまま、静かに呼吸を繰り返している。
まるで、そこだけが安心できる場所だと言うように。
奈津は小さく息を吐き、悠真の肩へそっと手を添えた。
奈津「悠真。」
返事はない。
目を閉じたまま、小さく眉を寄せている。
額へ触れると、思わず眉をひそめた。
……熱い。
サイン会の時より、熱が上がってる。
奈津「とりあえず車まで行くぞ。」
優しく声をかける。
「休め。」
そう続けようとした、その時だった。



