奈津は悠真の肩へ手を添える。

奈津「もう話は後だ。車行くぞ。」

悠真は小さく頷こうとした。

その時だった。

視界が大きく揺れる。

床が遠くなるような感覚。

耳鳴りがして、奈津の声も遠く聞こえる。

……立って。

ちゃんと立たないと。

そう思うのに、膝へ力が入らない。

ぐらっ。

体が前へ傾く。

奈津「悠真!」

奈津が咄嗟に腕を伸ばす。

でも、一歩遅かった。

莉麻「悠真くん!」

莉麻も同時に手を伸ばす。

次の瞬間悠真の体は、そのまま莉麻の胸元へ倒れ込んだ。

ふわっとシャンプーの優しい香りがする。

熱くなった額が、莉麻の肩へ触れる。

その温もりに、張りつめていた糸が切れた。

もう……頑張れない。

そう体が諦めてしまったみたいに、悠真は崩れるように体重を預ける。