莉麻「外にいるより……病院に行った方がいいと思います。」

悠真は静かに首を横へ振る。

悠真「……そこまでは、大丈夫。」

無理してる。

そう思ったけれど、今は否定しなかった。

莉麻「じゃあ、お家に帰って休んだ方が安心ですね。」

そう口にしてから、ふと気づく。

……あ。

莉麻「でも……。」

悠真がゆっくり顔を上げる。

莉麻「私がお家まで送っちゃうと……悠真くんのお家、分かっちゃいますよね。」

アイドルにとって、自宅は一番知られたくない場所だ。

ファンだからこそ、それくらいは分かる。

莉麻「マネージャーさんとか……メンバーさんに連絡した方がいいですか?」

そう言うと、悠真は黙り込んだ。

マネージャー。

メンバー。

頭の中にみんなの顔が浮かぶ。

今日はオフだから、一人で外へ出た。

少しくらい息抜きしてもいいだろうと思っただけだった。

……なのに。

こんなことになるなんて。

奈津たちは今日も仕事。

きっと今頃、撮影か取材か。

マネージャーだってスケジュールで動いている。

こんなことで呼び出したくない。

でもこのまま一人で帰れる状態じゃない。

もし途中で倒れたら。

もし誰かに見つかったら。

その方が、もっと迷惑をかける。