一方その頃最後のファンへサインを書き終えた悠真は、小さくペンを置いた。
悠真「今日はありがとうございました。」
深く頭を下げる。
会場は拍手に包まれた。
笑顔で手を振りながらステージ裏へ向かく。
その瞬間だった。
ぐらり。
視界が大きく揺れる。
……っ。
まずい。
思わず壁へ手をつく。
春空「悠真?」
後ろを歩いていた春空が振り返る。
悠真はすぐ笑って見せた。
悠真「大丈夫。」
陽「いや、大丈夫な顔じゃないって。」
陽が慌てて近づく。
その横で未来は眉を寄せたまま悠真を見つめていた。
未来「熱、ある。」
短い一言。
その声に奈津も振り返る。
悠真の顔を見るなり、小さく息を吐いた。
奈津「……だから言っただろ。」
悠真は苦笑するしかなかった。
悠真「最後までやりたかった。」
その一言を聞いた奈津は、それ以上何も言わなかった。
責めても意味がない。
悠真は、そういう人だから。



