出口の前まで来ても、莉麻は足を止めたままだった。

ガラス越しに見える会場。

ファンのみんなは楽しそうに笑っている。

その光景はいつもと変わらない。

でも私だけは知っている。

あの日炎天下で苦しそうに立っていた悠真くんを。

私の肩に寄りかかって、やっと安心したように眠った悠真くんを。

だから。

「大丈夫。」

その笑顔を、信じきれなかった。

……あと少しだけ。

イベントが終わるまで。

ちゃんと終わるのを見届けてから帰ろう。

そう自分に言い聞かせ、壁際で静かに待つことにした。