列の外へ出ても、莉麻は振り返ってしまう。
悠真はもう次のファンへ笑顔を向けていた。
さっきまで自分に見せていた表情は消えている。
いつものアイドル・悠真。
……やっぱりすごい。
でもやっぱり心配。
何度見ても、顔色は良くならない。
それどころか時間が経つにつれて汗の量が増えている気がした。
それでも悠真は、一人一人と丁寧に目を合わせる。
笑って名前を呼んで。
「ありがとう。」
その言葉を何度も繰り返す。
莉麻は出口へ向かいながらも、何度も振り返ってしまう。
帰らなきゃ。
そう思うのに。
足が前へ進まなかった。
もしまた倒れたら。
そんな嫌な予感だけが、胸の奥から離れてくれなかった。



