数秒だけ。

二人の間に静かな時間が流れる。

悠真は小さく笑った。

その笑顔は、さっきまでファンに向けていた笑顔とは少し違う。

少しだけ力が抜けた笑顔。

悠真「……莉麻ちゃんには。」

小さく息を吐く。

悠真「隠せないな。」

その言葉に、莉麻の胸がどくんと鳴る。

そんなこと言われたら余計に心配になる。

莉麻「今日は終わったら、ちゃんと休んでください。約束です。」

悠真は少し照れたように笑う。

悠真「……約束。」

その時だった。

スタッフ「お時間です。」

現実へ引き戻される。

もう終わり。

たった数十秒。

もっと話したかった。

もっと大丈夫か聞きたかった。

莉麻は名残惜しそうに立ち上がる。

莉麻「無理しないでくださいね。」

その言葉だけ残して、一歩下がった。

悠真は最後まで莉麻を目で追っていた。