「それでは、サイン会を始めます!」
スタッフの声と同時に、会場から大きな拍手が上がる。
六人が一斉に立ち上がり、ファンへ笑顔で手を振った。
VELIX「よろしくお願いします!」
その笑顔につられるように、莉麻も小さく手を振り返す。
……やっぱりかっこいい。
テレビで見る姿も好きだけど。
目の前にいる悠真は、もっと眩しかった。
サインを書きながら、一人一人と丁寧に話していく。
笑って目を見て名前を呼んで。
どんなファンにも同じように優しい。
あの日、熱で苦しそうにしていた人と同じ人には思えないくらいだった。
でも莉麻だけは知っている。
その笑顔の裏で、まだ体調が戻りきっていないことを。
「次の方どうぞー!」
列が少しずつ前へ進んでいく。
あと十人。
あと九人。
近づくたびに胸がどきどきして落ち着かなかった。
……覚えてくれてるかな。
いや。
覚えてなくても仕方ないよね。
あんなに体調悪かったんだもん。
そう思いながらも、どこか期待してしまう自分がいた。



