奈津「無理してないだろうな。」
その言葉に、悠真は苦笑した。
熱中症で倒れた日から、奈津は前よりよく様子を見るようになった。
悠真「してないって。」
そう言ってスポーツドリンクを一口飲む。
冷たいはずなのに、体の奥へうまく染み込んでいかない。
……まだ少しだるい。
でも言うわけにはいかなかった。
みんなだって忙しい。
俺だけ休むわけにはいかない。
未来「顔色は、あんまり良くない。」
静かにそう言った未来に、悠真は思わず笑う。
悠真「未来って、そういうとこよく見てるよね。」
未来「見てる。」
短い返事。
でも、その目は本気で心配していた。
奈津は小さくため息をつく。
奈津「明日はサイン会だ。少しでもきつかったら途中で抜けろ。」
悠真「大丈夫。」
迷いなく答える。
悠真「ファンのみんな待ってるから。」
その言葉に、奈津は何も言えなかった。
悠真は昔からそうだった。
自分より、誰かを優先する。
だからこそ心配になる。



