診察を終えた莉麻は、しばらく病室で休むことになった。

肩には軽く固定がされ、腕にも痛みが残っている。

それでも、大きな怪我がなかったことに、莉麻自身もほっとしていた。

ベッドの横には悠真が座っている。

奈津と春空はスタッフと今後の予定を確認するため、一度部屋の外へ出ていた。

二人きりになった途端。

悠真は、ずっと我慢していたように息を吐いた。

悠真「……本当に、よかった」

莉麻「悠真くん……」

悠真は俯いたまま、莉麻の手をそっと握る。

悠真「さっき、莉麻ちゃんが倒れてるの見たとき……頭真っ白になった」

莉麻「……うん」

悠真「声も聞こえなくなって……莉麻ちゃんのことしか考えられなかった」

握る手に、少しだけ力が入る。

悠真「俺、本当に怖かった」

莉麻は黙って悠真を見つめた。

いつもなら、弱音を吐かない人。

大丈夫じゃなくても「大丈夫」と言う人。

そんな悠真が、今は自分の前で震えている。

胸が締め付けられる。

莉麻「……ごめんね」

悠真「だから、謝らないで」

悠真が顔を上げる。

目元にはまだ涙が残っていた。

悠真「莉麻ちゃんが俺を助けてくれたこと、嬉しいなんて言ったら変だけど……俺のことを大切に思ってくれてるって分かったのは、嬉しかった」

莉麻の胸が大きく鳴る。

そして悠真は、少しだけ照れながら続けた。

悠真「だから俺も……莉麻ちゃんのこと、もっと大切にしたい」

その言葉に莉麻は小さく笑った。

莉麻「……じゃあ、お互い様だね」

悠真「うん」

二人の手は、そのまま離れなかった。

莉麻は握られた手を見つめながら思う。

――この人のそばにいたい。