病院に到着すると、莉麻はすぐに診察室へ運ばれていった。

悠真は廊下で待つことしかできない。

さっきまで握っていた莉麻の手の温もりが、まだ手のひらに残っている。

けれど。

その手が離れた瞬間から、不安がどんどん大きくなっていった。

後から、奈津と春空も病院にかけつけてくれた。

悠真「……大丈夫かな」

隣にいた奈津が静かに答える。

奈津「きっと大丈夫。今は先生に任せよう」

春空も俯いたまま、ぎゅっと手を握っていた。

春空「……本当に、怖かった」

誰もそれ以上、言葉を続けられなかった。

しばらくして診察室の扉が開く。

三人が一斉に顔を上げた。

医師「付き添いの方は?」

悠真がすぐに立ち上がる。

悠真「僕です」

医師は少し驚いたように悠真を見るが、そのまま説明を続ける。

幸い、大きな骨折や命に関わるような怪我はなかった。

ただ、肩や腕を強く打っているため、しばらく安静にする必要があるという。

その言葉を聞いた瞬間。

悠真の身体から、力が抜けた。

悠真「……よかった……」

思わず目を閉じる。

安心した途端、涙が一粒こぼれた。

奈津がそんな悠真の肩に手を置く。

奈津「本当に……よかったな」

悠真「……うん」

そして悠真は、診察室の中にいる莉麻を見つめた。

――助かってよかった。

本当に、それだけだった。

そして今悠真の中にも、もう一つだけ、はっきりした気持ちがあった。

悠真(俺は……絶対に莉麻ちゃんを失いたくない)

その想いは、以前よりずっと強くなっていた。