やがて救急隊が到着し、莉麻は慎重にストレッチャーへ乗せられた。

肩を動かすたびに痛みが走る。

それでも莉麻は、ずっと悠真の姿を目で追っていた。

悠真「俺も行く」

スタッフが止めようとする。

スタッフ「悠真さん、病院にはスタッフが付き添いますから――」

悠真「……嫌です」

珍しく、悠真が即答した。

その声には、迷いがなかった。

悠真「莉麻ちゃんを一人にしたくない」

その言葉に、奈津が静かに息を吐く。

春空も、何も言わず悠真を見つめていた。

二人とも分かっていた。

悠真がもう、ただの「気になる相手」として莉麻を見ているわけではないことを。

そして――

莉麻自身もストレッチャーの上から悠真を見つめる。

不安そうな顔。

泣きそうな顔。

自分のことで、こんなにも苦しそうにしている。

胸が痛い。

でも、それと同時に――

どうしようもなく嬉しかった。

莉麻「……悠真くん」

悠真「ん?」

莉麻「そばにいてくれる?」

一瞬、悠真の目が揺れる。

そしてすぐに頷いた。

悠真「もちろん」

莉麻「……ありがとう」

悠真はストレッチャーの横を歩きながら、莉麻の手をそっと握った。

今度は、莉麻からではなく悠真からその温もりを感じながら、莉麻は静かに目を閉じる。