翌日の撮影スタジオの一角では、次のセットの準備が進められていた。

莉麻はスタッフと確認をしながら、メンバーの休憩場所を整えている。

その少し先を、悠真が歩いていた。

悠真「莉麻ちゃん、飲み物――」

声が聞こえて、莉麻が振り向く。

その瞬間だった。

ガタンッ――!!

突然、大きな音が響いた。

セット脇に立てかけられていた薄いパネルが、バランスを崩して倒れてくる。

しかも、その先には――悠真がいた。

莉麻「……悠真くん!!」

考えるより先に、身体が動いた。

莉麻は全力で走る。

悠真「え――」

ドンッ!!

莉麻が悠真の身体を思いきり押した。

悠真がよろめいて、その場から離れる。

その直後――

ガシャッ!!

倒れてきたパネルが莉麻の身体の上に落ちた。

悠真「……莉麻ちゃん!?」

一瞬何が起きたのか分からなかった。

ただ、目の前から莉麻の姿が消えた。

悠真「莉麻ちゃん!!」

悠真が駆け寄る。

倒れたパネルの下に莉麻は身体を丸めるようにして倒れていた。

痛い。

怖い。

苦しい。

それでも莉麻の頭に浮かんでいたのは、たった一つだった。

――悠真くんだけは、絶対に助けたい。

自分がどうなっても。

悠真が怪我をしないなら、それでいい。

その瞬間、莉麻は気づいた。

――なんで?

どうして私は、こんなに必死になったんだろう。

自分の身を犠牲にしてでも。

悠真を助けたいと思った。

その答えは、もう分かっていた。

莉麻(……私、悠真くんのこと……)

胸の奥に浮かんだ言葉。

今まで怖くて認められなかった気持ち。

でも、もう誤魔化せない。

莉麻(……好きなんだ)

その瞬間莉麻の目から、涙が一粒こぼれた。